「今年こそは変わりたい」と思っていたのに、気づけば何ヶ月も経っていた。新しいことを始めたのに、なかなか思うように変われない。
そんな自分に、がっかりしてしまうことはありませんか?
春のはじまりに心機一転した気持ちも、少しずつ日常に埋もれていく。連休をきっかけにプツンと気持ちが切れてしまったり、じわりじわりと疲れを溜め込んでいたり。忙しい日々を過ごすうちに、自分のことは後回し……という人も多いかもしれません。
それでもどこかで「やっぱり変わりたい」「もう一度、自分を大事にしたい」と感じているなら。この回想録が、その小さな声にそっと寄り添うきっかけになれたら嬉しいです。
この連載では、2025年4月からスタートした「暮らしのスコレ」3期の歩みをお届けしていきます。今回は「自分を知り、認めること」に向き合った5月の記録です。
| 「暮らしのスコレ」は、あなたの小さな声に、そっと耳をすますプログラムです。講義や瞑想、プライベートセッションなどを通じて、自分らしい生き方を半年間かけて探求していきます。(詳細はこちらをご覧ください。) |
5月のスコレ「自分を知り、認めながら生きる」
暮らしのスコレでは「思考・身体・心」の3つの側面から自分自身や暮らしを整えていきます。心理学や哲学を中心に「思考」を学ぶ講義、「身体感覚」を養う瞑想、「心」とじっくり向き合う個別セッション——スコレで見つけた知識や気づきを、少しずつ自分のものにしていく。この循環が「暮らしのスコレ」が大切にしている在り方です。
「自分を知り、認めながら生きる」をテーマとした5月の講義では「目的論・認知論・自己受容」について学びを深めていきました。
たとえば、
「イライラして怒ってしまうのは、子どもが言うことを聞いてくれないからだ」
……本当にそうでしょうか?いつのまにか”自分の正しさ”を証明することが目的になっていませんか。
「挨拶しても返してくれないあの人は、私のことが嫌いなんだ」
……本当に?それは“事実”といえるものでしょうか?
さまざまな日常の事例を挙げながら、私たちが無意識に作り上げている“目的’や“認知”を一つずつ紐解いていった5月の講義。
私たちは日々、いろいろな感情を生み出して行動しています。そして、その感情や行動には必ず“自分なりの目的”がある——自分の思考を省みることで、これまで当たり前だと思っていた世界が、ぐるりと変わる経験をした人もいました。
「自己受容」のワークでは、メンバーそれぞれが“自分”について言葉を書き連ねました。日々のなかで、ずっと見て見ぬふりをしてきた「弱さ」を含めて、自分に向き合う時間。現在地がわからなければ、これからの地図は描けません。「変わりたい」と願うからこそ、まずは自分を正直に知ることを意識した5月でした。
スコレのみなさんの声
「暮らしのスコレ」の大きな特徴が「シェアタイム」です。講義や瞑想のあとに、自分の感じたことや気づきを言葉にしてみる。日々の小さな変化や揺れも、Slackの中で振り返り、シェアしてみる。
じっくり時間をかけ、ともに学ぶ仲間の声に耳を傾け、自分自身にも問いを向けていく——そんなシェアタイムは、「ひとりじゃない」と感じられるあたたかな時間でもあります。ここでは、その振り返りの中から、いくつかの声を紹介します。
Aさん/「嫌われたくない」と行動するのは、本当は苦しかった。
これまでは、「自分が人に合わせればすべてが丸くおさまる」と思っていました。相手に合わせる事によって責任逃れもしてきましたし、意見や感情をあまり出さないようにしていたと思います。
相手が私を「こういう人」と思ったら、その通りの人になっていました。父に「お前は優しいけれど強い」と言われれば優しい子にならなきゃいけないと思っていたけれど、これは父親に嫌われたくないという「目的」があったんだと気づきました。
でも、それは息苦しくて、結局は「なんで私ばっかり」と相手に苛立ったり、精神的にも肉体的にもすごく疲れていたように思います。スコレの活動をとおして、自分自身の意見を持って、日々責任を持って行動したいと思うようになりました。私の中にある価値観や好きなことや嫌いなこと、全部をひっくるめて自分なんだと実感しながら生きていきたいです。
今もまだ「こうしたい自分」と「空っぽの自分」を行ったり来たりしていますが、自分と会話する時間が少しずつ増えているように思います。「どうしたいの?」「どう思ったの?」「どうしてそう思うの?」と、ちょっと立ち止まって考える時間を心がけられるようになってきています。
Mさん/弱くてダメな部分も含めて、“私の命”なんだ、と。
「自分のことを認める」ために、私はずっと「こんな自分でもいいんだ、いいんだ」と言い聞かせてきました。でもそれは、自分のダメな部分を見たくない・消したい・いてはいけないと思って生きてきたということだったんだと気づきました。
5月の講義を受けて、私のダメな部分はたしかに私のなかにあるし、それを「弱いなあ、小さいなあ、ずるいなあ」と思ってもいい。人にそう思われても、本当はいいはずなんだ、と新しい視点をもらえました。そのダメな部分のある自分も含めて、今を一生懸命に生きる命なんだと。この考え方は、ダメな部分も“いい“んだと必死に言い聞かせてきたこれまでよりもしんどい、でも同時にとても楽です。
今までは「今日もだらけてしまった」とか「イライラする自分はよくない」という感じで自分を認められていませんでしたが、今は少しずつ「そういう自分もいるよね」と思えるようになりました。自分を知って、認めて、ここから初めて“なりたい自分”に向かっていける気がしています。
Mさん/100点になれないと責める自分から、ありのままを許せる私へ。
ずっと「“できる人”に見られたい」「長女として家族に心配をかけたくない」などの思いがあって、表面上は良い人を演じてきたと思います。職場でもいつも気が張っていて、家に帰れば、無気力状態……。そういう自分のことも「100点になれていない」と責めている始末でした。
今回の講義を通して、「認知を選び直して生きることができる」と聞いて、選び直せるんだ!と私も変わる過程にいると思うことができました。「私は、私を大事に生きていく」と、命で感じられたら、どれだけ楽になるだろう。
この振り返りも「100点の振り返りをしなくては」と思っていたのですが、同期のみなさんの振り返りや思いを読みながら、1人じゃないんだと思ったら、「ありのままの自分で良いんだよー」と心に声をかけることができました。文字にして、気づけることがたくさんありますね。
スコレに入って、あっという間の2ヶ月。残り4ヶ月を大切にしていきます。
私たちは“目的”次第で人生を変えることができる
どうして、今こんなふうに感じたんだろう。
なぜ、この行動を何度も繰り返してしまうんだろう。
自分の感情も、性格も、人生そのものも、何ひとつコントロールできないように思えるときがあります。でも、その答えはすべて「自分のなか」にあります。
5月の学びを通して、そのことに気づいたスコレのメンバーたちは、日々のなかで“自問する”という新しい習慣を育て始めています。
私たちは「自分」という存在を知っているようで、実はじっくりと向き合う余白もないまま生きてきたのかもしれません。まずは自分を知り、認めていくこと。、それが“人生を変える”ための確かな土台になるのだと思います。
今のあなたは、どんな“目的”で生きていますか?
自分次第で変われるとしたら——どんな人生を、生きてみたいですか?
5月をふりかえって—うきより
5月のスコレでは「自分を知り、認める」というとてもシンプルで、とても勇気のいるテーマに、一人ひとりが向き合ってくれました。
私自身、「自己受容」という言葉が持つ深さに、いつも立ち止まらされます。それは何かを諦めることでも、自分を甘やかすことでもなく、「ここにいる自分をまるごと引き受けて、もう一歩進んでいくこと」だと感じています。
思うようにいかない日も、過去のパターンに戻ってしまう瞬間もきっとあると思います。でもそんなときこそ、自分に小さな問いを投げかけてみてください。
「私は本当は、どうしたい?」
この問いはきっと、どんなときも人生を動かす出発点になります。
それぞれの歩調を大切にしながら、6月も共に進んでいけたら嬉しいです。
Writer: Mana Wilson


