Vol.5 “母の心配”を手放して、軽やかに生きる。あいさんの変化の物語

暮らしのスコレ・インタビュー

暮らしのスコレを受講しているメンバーにインタビューするシリーズ。今回は、2期生として参加していたあいさん(40代・女性)です。「自分は弱い存在だ」と長年自信を持てなかった彼女が、「私にもできる」と勇気を持って行動を変えるまでを聞きました。お子さんの卒業のタイミングで、ご自身も「人生を総決算するつもりで」とスコレに参加し、真摯に自分と向き合った1年間のお話です。

偏食は“いいこと”——その言葉に、救われた

——最初に「暮らしのスコレ」を知ったきっかけを教えてください。

Instagramで見かけたうきさんの投稿です。ご自身の子どものときの偏食を、全然ネガティブに捉えていない文章に驚いたんです。私も偏食のある子どもだったのですが、そのことをすごく大きなこととして捉えていました。

——大きなこと?

「そんな自分だから、あれもこれもダメなんだ」みたいに、自分を否定するものになっていました。でも、うきさんは「そんな自分だからいいんだ」と言っていて、偏食を肯定している人に初めて会ったから、すごく興味が湧いて。

——それで、「暮らしのスコレ」にも入ろうと。

はい。私はヨガ講師なので、ヨガ哲学を始めとした探究は割と好きなんです。かなり抽象的なヨガ哲学に比べて、具体的な“暮らし”に根付いたスコレでの学びに興味が沸きましたね。これまで講師として人に教えるための勉強はしてきたけれど、今回は“自分のために”入ろうと思いました。

自信のなさの正体は、“母の心配”だった

——「暮らしのスコレ」で特に印象に残っていることを教えてください。

一番驚いたのはプライベートセッションの1回目です。うきさんとの自然な会話のなかで、気がついたら母の話をしていて、それが今の自分の生き方や悩みにつながっていたという大発見があったんです。具体的な悩みがあったわけではなくて、どうやってその話になっていったのかもわからないほど不思議な体験でした

——自覚していなかったお母さんの話が出てきたんですね

母は、とにかく心配性でした。偏食があり病弱だった私への愛情だとわかっていましたし、感謝こそすれ悩んだことはなかったんですね。でも、うきさんと話すうちに「母の心配」が私のなかにも深く入り込んでいることがわかったんです。

——というと?

根本的な“自信のなさ”っていうのかな。「私にはできない」という生物的な自信のなさがずっとあったんですね。母がずっと心配していた影響もあるでしょうし、私自身が無意識のなかで「イメージどおりの私のままでいないと母を悲しませてしまう」という気持ちもあったんだと……。

——そういうことが、セッションでわかっていったんですね。

そうなんです。でも、うきさんと一緒に実際の私を客観的に見てみると、子どもを産んで育てたり、自分の好きなことで働いたりできるくらいの体力はあったんですよね。母のために弱いままの自分でいることを、そろそろやめてもいいんじゃないか……というところまで、たった一度のセッションで。一体なにをされたんだろう?と、いまだに不思議に思っています(笑)

頭痛薬を手放した日。変わる勇気は、自然にやってきた

——プライベートセッションを通して「自分は思っているほど弱い人間じゃない」とわかったことで、暮らしにはどんな変化がありましたか?

一番の大きな変化は、頭痛薬をやめられたこと。中学生くらいから肩こりと頭痛に悩まされていて、頻度が高いときには何箱飲んでたかわからないくらい、もう何十年も飲み続けていました。頭痛持ちなのも自分に自信のなかった要因のひとつだったので、前からずっとやめたいなと思っていても「私には無理だ」と、とてもじゃないけど勇気が出なくて。

——それがセッションのあと、飲まなくても大丈夫かも、と思えたんですか?

そう、やめられるかもって自然と勇気が出ました。それで実際にやめたら、大丈夫だったんです。薬の服用が頭痛を引き起こすことにもつながっていたのか、今では頭痛の頻度自体も減りました。副作用で口内炎や胃痛にも悩まされていたので、実際には薬をやめてからのほうが元気です。

あと、「体調を崩すのってそんなに悪いことなのかな」という発想まで芽生えてきたのは驚きでした。私はずっと「元気でいなきゃ」という気持ちが強くて、寝込んだり休んだりすることのないように薬を飲んでいました。でも、頭痛薬をやめたら、夫が「家事はやっておくから寝てて」と言ってくれたんです。それは夫が変わったわけではなくて、以前は私がそれを受け入れてなかったんだろうな、と思いました。

——偏食を“いけないこと”と思っていたのが覆されたのと同じように、体調不良も受け入れられるようになったんですね。すごい!

それくらい、うきさんとの対話には威力があるんだと思います。長い間、自分が信じ込んできたことが1回のセッションで変わって、行動に移すことができちゃったんですから。

心と身体の変化が、“人生を変える”と知ってしまったから

——気持ちだけでなく、“行動”まで変わったのはすごいですね。

頭痛も自信をなくす要因の一つだったのですが、今は自信がついて「出かけてみよう」「やってみよう」という気持ちになり、生活そのものがガラッと変わりましたね。ヨガ講師の仕事でも、これまでは「不健康な私が言っても……」みたいな引け目があったんですが、心や体の変化について伝えたいという熱量がすごく上がりました。

——ご自身が身をもって、日常がどう変わるかを知ってしまったから。

本当にそうなんです。もう戻れない(笑)。薬をやめてみて、“治る経過”を感じることができたのも大きかったですね。薬で無理矢理おさめなくても、休んでいれば自然に治っていくんだなと体感するうちに「身体ってすごい!」とひたすら感動しました。

——ヨガの先生が心からそれを信じているのは、きっと大きいことですよね。

ヨガの仕事に対しての意味合いも大きく変わりました。正直、以前は「生きてるだけで、そのままのあなたで素晴らしい」などの言葉を言えなかったんです。でも、今は「私たちの身体って本当にすごいんだよ」と心から言えます。これからも、この感動を伝えていきたいですね

——やりたいことが見えていて、これからのあいさんの人生が楽しみです。

私は専業主婦の期間が長かったので、仕事をしないまま若い時期を過ごしたことを「これでよかったのかな」と思っていたんです。でも、暮らしのスコレでの活動を通して、家族や子どもに向き合う、何よりも大切な時間だったんだと気づきました。今でもそのことを日々振り返りながら「私の人生、これでよかったんだ」という温かな確信のなかにいます。これからもスコレで見つけた自信を胸に、自分の人生をじっくり歩んでいけたらと思います。


Writer: Mana Wilson