お名前:Kさん(40代)
インタビュー:2021/09/07
ご家族構成:ご夫婦、子ども1人(中学生)
居住形態:集合住宅(4LDK)
2020年春ごろから1年間、月に一度のペースでお片づけレッスンを受けてくださったKさん。おうちをリフォームをするにあたって、何十年も悩み続けた「片づけ」問題を根本的に解決。2021年7月にレッスンを卒業されました。
− 本日はよろしくお願いいたします。まずは1年前、Kさんがお片づけをご依頼をくださったきっかけを教えていただけますか?
これまでに何度か、お片づけの家事代行サービスを頼んだことがありました。その時は一応キレイにはなるんだけど、リバウンドをしてしまう…を繰り返していて、根本的な解決が必要だと感じていました。
おうちのリフォームを控えていたのもあり、「本格的に片づけなきゃ」と思って調べていたときに、うきさんのお片づけの考え方を読んで、「本当のお片づけって、こういうことなのかも」と。それにうきさんは、「お家を一軒まるごと片づけます」というスタンスで、そこまで本気で片づけに向き合ってくれる人なら、私も変われるかもしれないと思い、お願いすることにしました。
− Kさんはお片づけに関して、だいぶ苦手意識を持っていらっしゃいましたね。実際に依頼するときは勇気がいったんじゃないですか?
いりました。まず片づけができていないことが、本当に恥ずかしいと思っていました。知り合いなどのおうちにも訪問したりすると、みんなすごくキレイなおうちに住んでいて。こんなにごちゃごちゃして片づけられないのは私だけなんだって思っていました。
− 初回は、お片づけの基本を座学でお伝えしましたが、どうでしたか?
「なぜ片づかないのか」を教えてくれる人って、今までいなかったので、とても面白かったです。以前、家事代行で収納のプロの方をお願いしたんですが、収納のことしか教えてくれないんですよね。例えば、こういうのはここに置いた方がいいよ、とか。
キレイにもなるし、色々な収納テクニックを知っていて、へぇ〜とはなるけど、どうして私は片づけができないのか、片づけとはどういうことなのかを、ちゃんと考えたことも、教わったこともありませんでした。それを、うきさんが丁寧に教えてくれました。
− お片づけの問題は、テクニックでは本質的な解決に至りません。マインドの変化が重要ですね。最初に洋服の片づけをしてから、人が変わったかのように、Kさんの顔色がパッと明るくなられたのがとても印象的でした。洋服の片づけはどうでしたか?
最初は洋服を「全部出す」っていうのが、本当にめんどくさいなぁと思っていて。やる前は本当に気が重かったです。しかも、全部出して取捨選択したとして、「そんなに減るはずもないよなぁ」と思っていました。
だけど、うきさんが事前に、どういうモノを選んで、どんなものは手放すのかを教えてくれていたから、納得して手放すことができました。しかも、無理したわけでもないのに、驚くほどたくさん手放せて、もう快感でした。残しておきたい服を選んだあとは、うきさんが美しく、使いやすく収納してくれたのも嬉しかったです。
− 自分で片づけをするときは、そうはいかなかったですか?
やっぱり自分だと、悩んでしまうモノとかは「まぁいいか」って残していました。せっかく片づけようと思ったのに、結局ほぼすべて取っておくことになっちゃう。そもそも、「全部出す」ということをしないから、さっと見るだけで、ほとんど変化も起きない。実際に全部出してみて、「持ちすぎだなぁ。こんなにいらないよね。」って実感できました。
− 洋服を片づけてからはどうですか?
すごく楽です!前は毎朝、ああでもない、こうでもないと悩んだり、服はいっぱいあるのに、着たいものがなくて困ったり。だからいつも「買わなきゃ」って焦っているような感覚でした。
「なんか合わないんだよな」とか、「太って見えるんだよね」とか、そういう「イマイチ服」が多かった。今はお気に入りの、自分に似合う服しかないので、洋服を選ぶのが楽しいです。
そして、精神的な効果もありました。自分の持ち物をちゃんと把握してるというのが、心の安定や、自信につながります。「今シーズンはこれ!」っていうのを決めて、その服を目一杯楽しむつもりで、買い物をするようになりました。「なんかイケてないな」っていう服を着るよりは、お気に入りを毎回着ている方が、気持ちがいいですね。
− お片づけが苦手な方って、「一番のモノを買わない」という特徴があります。いつも2番手のモノを買ってしまう。それで、すごく好きというわけではないものが家に集まり、「服はあるけど着たい服がない」という状況になってしまうんです。
すごく分かります。「好き」という軸ではなく、これは着まわせるかも、みたいな視点で買っちゃうから、気に入っているわけではないんですよね。だから満たされていなかったのかも。洋服をいっぱい持っているよりは、自分の中で自信を持って着れるモノを数着持っている方が、気持ちがいいということが分かりました。
− 買い物の仕方も変わったのですね。
今までは、目的のモノを買いに行っても、ついつい「これ可愛い」とか「安い」とかで、余計なモノを買って帰ることが多かったのですが、そういうことがなくなりました。惑わされることなく、じっくり探すようになったから、よりお気に入りのものが見つかるようになったし、目的のモノがその日に見つからなかったら、何も買わないで帰ってくるようになりました。
− 書類も沢山減りましたよね。
書類は本当に大変でしたね。大量に溜まってしまっていたので。でも、うきさんとのお片づけでかなり減らすことができ、分かりやすく仕分けもできたので、書類が積み重なるとかは、今はほとんどないですね。
子どもの新学期が始まるタイミングで、出さなきゃいけない書類がたくさんあったのですが、前日の夜にサクサク準備できて、感激しました。前だったらあちこち探して、「え?これもだっけ?こっちもだっけ?」という感じで、バタついていたのが嘘のようです。
− おうちが片づくと、無駄な時間が減りますよね。物置き部屋も片づけて、そこを子ども部屋にしましたが、その後どうですか?
子どもが思春期に差し掛かっていたのもあり、本当に良かったと思います。私にとっても、リビングが子どものモノで散らかる頻度が減ったし、散らかってたとしても部屋に戻せばいいから、日々の後片づけが楽になりました。
同じ時間を過ごすにしても、おうちが散らかっていると、どうしても頭の片隅に「片づけなきゃ」っていうのが浮かんできて、落ち着かないんですよね。常にストレスを同居しているような状態で、とてももったいない時間を過ごしていたなと、今になって思います。
− 以前は、ダイニングテーブルが教科書やプリント類で占領されてましたもんね。いまはテーブルは常に片づいている状態をキープできていて、本当に素晴らしいと思います。リバウンドとかはしてないですか?
してないですね。もちろん、わ〜っと散らかることはあるけど、すぐに戻すことができます。家事にかかる時間が本当に減りました。
たとえば冷蔵庫とかも、「今日は上の段だけ片づけちゃおう」と、ささっと片づけることができるようになりました。うきさんとの片づけで、「片づけ方」が身に付いたから、手早く取り組めるんだと思います。
あとはそもそも、無駄なモノを買わなくなったので、モノが増えないというもが大きいですね。キッチンには、いろんなサイズの保存袋とか、便利グッズとかが多かったのですが、モノがあっても置く場所がないと活用できないんだと分かり、結果「気がついたらモノが増えてる」ということがなくなりました。
− 置く場所がないと使えませんからね。あたまでは分かっていても、体得できている人は、ほとんどいないですよね。
そうですよね。モノの量が把握できていると、自然と余計なモノを買わなくなります。片づけをする前は、本当は不要なのに、必要だと思い込んで買っていました。そういうことをしなくなったのが、本当に良かった。
リフォームの図面の打ち合わせの時も、モノの量を把握しているから、すごくスムーズに話が進みました。うきさんと片づけをせずにリフォームを進めてたら、すごくたくさんの収納を作っていたと思います。でもそうすると、家族の過ごす場所が減るわけで、すごくもったいないですよね。
実際、初めはリビングの壁をすべて壁面収納にしようと思ってたのですが、その収納もすべて必要なくなり、広々としたリビングにすることができました。
− 改めて、一緒に片づけに取り組んだ1年は、どんな時間になりましたか?
一緒だから片づけられた、っていうのがやっぱり大きいです。優しく背中を押し続けてもらいました。
今まで家事代行にお願いしていたときは、モノの要・不要を分けて収納するだけだったのですが、うきさんは、どうして自分にはそれが必要で、こっちは不要なのか、なぜこれを手放すことに躊躇してしまうのか、ひとつひとつ深くお話してくれて、自分でも気づけなかった価値観や思考のクセが分かり、最終的に大きなマインドの変化につなげることができました。
自分でも漠然と、片づけができないのは、なにか根本的なところに問題があるとは分かっていたのですが、一人ではどうにもならなくて。その根本的なものは何なのか、何十年も分からなくてモヤモヤしていたことを、うきさんが明確に教えてくれました。
− お片づけで悩んでいる方に、なにかアドバイスはありますか?
本当に、プロに頼む最初の「一歩」だけですよね。そのハードルが高いのはすごく分かるんだけど、すごく伝えたいのは、その先には大草原が広がってるよ、ってことです。
私もすごく勇気がいりました。何度も頼もうかな、いや、やっぱり辞めよう、というのを行ったり来たりして。最終的に「えい!」っと飛び込めたのは、やっぱりわたし自身、変わりたい!という気持ちが強かったからです。
最初は、片づけをプロに頼み、お金をかけるということに抵抗感がありました。でも何十年も悩んできて、その度に収納用品を買ったり、家事代行の方に来ていただいたりして、それでも解決していないんだという事実に、ちゃんと向き合おうと思いました。
いま思うことは、片づけをお願いしていなかったら、今回片づけに費やした以上の無駄遣いを、ずっとしていたんだと思います。それでいて、理想の人生も叶わない。だから片づけは、絶対に価値があると思います。無意識のうちに、無駄なモノをこんなに増やしていたんだっていうのを、たくさん目にしましたから。
最初は、できない自分や、実際にすべてのモノを見ていくのが恥ずかしかったし、本当に片づくのかなっていう不安もありました。でも長い人生で考えたら、この1年間は本当に貴重というか、ここで片づけをしていなかったら、どんな人生を送っていたんだろうと考えると、ちょっと怖いくらいです。
おうちの状態から思考のクセまで、全体を見てくれる人じゃないと、本質的な意味では片づかないと思うので、お願いをして本当に良かったです。
− Kさん、貴重なお話、ありがとうございました。