過去の自分も変化する自分も受け入れる、セラピーのような片づけ

OnamiYuki | 13 April, 2021


          
            過去の自分も変化する自分も受け入れる、セラピーのような片づけ

お名前:Cさん

日時:4月24日15時

ご家族構成:ご夫婦+わんちゃん2匹

居住形態:戸建て(3LDK)


Cさんは、ご主人と2匹のわんちゃんと4人暮らし。夫婦ともに、フルタイムでお仕事されているのに加え、毎日大型犬の散歩を計2時間。さらにCさんは、とーーっても多趣味な方なので「いつ寝てるんですか!?」と心配になってしまうほどの多忙ぶり。お家の片付けも中盤に差し掛かり、これまで・これからについてお伺いしました。


あるべき場所にものがない


ー今日は宜しくお願いします。改めて、片付けのご依頼をくださったきっかけ、経緯などを教えていただけますか?


この家に引っ越してきてから、あるべき場所にモノが落ち着いてないなと思っていて。住んでいればだんだん片付いていくかなと思っていたのですが、しっくりこない状態がずっと続いていて、どうしたらいいんだろうと悩んでいました。そしたら偶然友人が、うきさんの片付けレッスンを受けていて紹介してもらうことに。


ー最初の私の印象はどんな感じでしたか?


プロが片付けてくれたとしても、すぐ元に戻っちゃうんじゃないかって不安もありました。でも私が大切だと思っていることもしっかり受け止めてくれて、考え方にも共感できるところばかりだったので、この人だったらいいなと思ってお願いすることにしました。


ー片付けレッスンについて、想像していたものと実際のギャップってありましたか?


始まる前は、モノを綺麗に並べて、整理整頓をしてくれるのかなって思っていました。モノの要・不要の判断を一緒にやってくれるっていうのは、全然想像してなかったですね。私がモノに対しての思い出を語り出すと、うきさんがしっかり耳を傾けてくれるので、気が済んで手放せる。片づけというか、セラピーみたいだなと思いました。


聞いてもらえるから気持ちよく手放せる


ー特に最初の服の片付けのときは、いろんな思い出が出てきましたね。


手放すのも、残すのも、全然誰かに認めてもらう必要はないんだけど、残すのも捨てるのも批判せずに受け止めてくれる人がいると、悪い疲れ方をしないんですよね。やっぱり大量のモノを手放すのは、悪いことをしてしまったみたいな気持ちになる。でも、その気持ちをうきさんは起こさせないですよね。例えば、前に未開封のシャンプーを捨てたじゃないですか。それに対して「もったいない!」とか、そういうコメントが一切無い。


ー「使わないモノを家に迎えてしまった」という事実は変わらないですからね。今ゴミになるのか、何年か先にゴミになるかの違いで。もっと目を向けて欲しいのは、「今」快適な生活ができていないという事実。その不幸せな時間の方がよっぽどもったいないということ。


そうなんですよね。でもそれを一人でやっていると、すごく自己批判してしまうので。毎回レッスンが終わると「ゴミを出し切った!よし、ビール飲もう!」っていうふうに、前向きな気持ちです。


ー自分が予想していたより、モノは手放せていますか?


そうですね。あんまりたくさんモノを持っているつもりがなかったのですが、納戸の片付けをしたときはびっくりしました。こんなに要らないモノしかなかったんだって(笑)片付けは「おかわり」するといいんだなっていうのがあって。


ーおかわり!初めての表現です。


お片付けのおかわり(笑)うきさんと一緒に整理して、そこからまた更に自分で見極めてみる。そうすると、どんどん「これは手放しても大丈夫」と思えるようになるのが面白くて。


ー片付けると自分のモノが一目瞭然になるので、これはまだまだ多いんだっていうのがはっきり分かりますよね。


そうそう。モノの総量がわかれば、勝手に収まっていくんですよね。あるべき場所にモノが収まっていくというのを、モノがちゃんと教えてくれている感じがあって、すごく嬉しいです。


初めて「いい買い物」ができた


ーレッスンによって学びになったこととかはありますか?


Cさん:あれ欲しい、これ欲しい、となったら、最初にどこにしまうかを考えるようになりました。私は普段ヨガとか瞑想を学んでいるんですが、片付けに通じることが多くて。片付けは、かなり生活に則しているから、普段の考え方とか暮らしにダイレクトに影響があるのがいいですよね。瞑想の先生が言っていたんですが、判断するパワーっていうのは、有限なんだそうです。一生の中で使える量が決まっている。余計なことでその力を使っちゃうから、やるべき時にやりたいことができない人が多いんだと。


うき:すごい…。片付けに通じますね。


そう。購入を検討するときに、使っているイメージや片付ける場所がすぐに想像できない時は、グダグダ考えないようになりました。


ーそれは、片付けによって自分の価値観がクリアになったということだと思います。


片付けをしてから、2回ぐらい服を買ったんですけど、「どういう時に着るのか」「代わりに何を手放せば収納できるのか」っていうのをちゃんと考えた状態でお迎えできて、「いい買い物ってこういうことを言うんだ!」って嬉しくなりました。


ーいい話ですね。やっぱり「要らないモノを家に迎え入れる」というのが、環境にとっても一番良くないんです。それがなくなったということは、その時点でもう「環境に優しい人」になっているということ。


そうですね。全ての服が自分の視界に収まるというのは、絶大な効果がありますね。例えば、たくさん服があるのに今日着る服がないっていうのがよくあるじゃないですか。片付けをしたら、クローゼットに全て収まっているから、洋服を探し回ることもない。それに、クローゼットにあるのは、厳選に厳選を重ねた子たちですからね。


ただ長く持つのではなく、大切に長く持つ


ーそもそも服自体にしっくりきてなかったんでしょうね。


私はシルクが入っている服が好きなんですが、洗うのが面倒っていうのがあったんです。でも洋服が減ってから、おしゃれ着洗いもできるようになって。持っている服を大事にしようという気持ちが働くようになりました。


ーモノが少なくなると、ひとつひとつのモノにきちんと愛情を注ぐことができますよね。


今までずっとただ単純に「長く持つ」ことが良いことだと思い込んでいたんだなと。たまに「これ取って置いてよかった」という経験があると、いつか着るかもしれないと思い続けて取っておいてしまう。服は着てない間も痛んでいくので、ただ長く持っておくだけなのは、全然いいことではなかったんですね。


ー日本人は、昔からとにかくモノを捨てるなっていう文化で、育てられていますからね。


それもあるかもしれないですね。「ずっと持ってたのに」と、そのモノを手放さずにいた過去の自分を否定しているような気持ちにもなります。変化した方が良い未来になるって分かっていても、生物は本能的に変化を恐れるので、モノを手放す=環境が変わるということに、不安を感じてしまうそうなんです。そう考えると、片付けは「成功体験の積み重ね」なんだな、と思いました。


「おかえり」と言ってもらえる家に


ー素敵な表現!ありがとうございます。改めて、このお家をどういう空間にしていきたいですか?


家に帰ってきたときに、家が「おかえり」って言ってくれるような存在になってくれたら嬉しいですね。私はこの家がすごく好きなんですけど、引っ越してきてからいまだに整っていないので、この子(家)もすごく不安に感じていると思う。私もまだちょっとだけお客さん的な感覚があって、馴染みきれてない。


ー私は帰宅すると、家に「おかえり!」てハグされているような気持ちになるのですが、そんな感じですか?


そうですね。今はまだお互いぎこちなく「た、ただいま…」「お、おかえり…」みたいな(笑)家にいることはすごく好きなのに、その気持ちを伝えきれていない。この家が心を持っていたら、「あなたはこの家に暮らしていて幸せですか?」と心配されているんじゃないかって。片付けが終わるということは、すべてのモノたちが、あるべき場所に収まっていて、家に何があるか把握できていてる状態。そうなったら、家に帰ってきたときに、「おかえり」って温かく迎えてもらえるんじゃないかな。