11. 本

OnamiYuki | 31 May, 2024


          
            11. 本

本棚の前に立って、正直に感じたこと

私がまだ自分のおうちの片づけをしていたころ、本棚の前に立って感じていたことは「読まなきゃ…」という焦燥感でした。なぜなら、買ったものの読んでいない本や、途中まで読んで断念してしまった本といった、「未読本」が本棚のほとんどを占めていたからです。

いわゆる「積読」が溜まってしまった理由は、本を読む時間がないから…だと私は思っていたのですが、本当は「他のことを諦めてまで、その本を読むことに時間を割きたいと思うほど、読みたいものではなかった」というのが真実でした。時間がないというけれど、ダラダラSNSを見たり、テレビを見る時間はあったわけです。いままでも、本当に読みたい本や、面白いと感じた本なら、自分でもびっくりするくらい集中して、食べることも、寝ることも、ちょっとのスキマ時間も惜しんで読みふけったこともありました。だから、買ったものの読まなかった本というのは、本当はそこまで読みたいものではなかったということだし、それよりも他に大切にしたいこと(休んだりとかも含めて)があっただけなのだということです。

本だけでなく、「時間がないからできない」と感じているモノは、人生の「いま」という時間軸において、優先順位が高くないということです。本当に必要なこと、やりたいことであれば、人というのはどうにか頑張るものです。恋愛でも、「相手が忙しいのを理由に、全然連絡をしてくれない」という相談なんかがよくあると思うのですが、はたから見れば「それって本当に好きじゃないからじゃないの?」と正直思ってしまうこと、ないですか?それでも、その人と離れられないのはどうしてかというと、その人に執着しているから。いまの自分と相手の関係がどうなっているのか、よく観察してみましょう。本であれば、「読みたい!」ではなく、「買ったんだから読まないともったいない」と感じてしまうような本は、手放してあげるというのが「アヒムサ(非暴力)」の実践でもあるのです。

いま全てを叶えなくても大丈夫、というゆるしも必要です。いきなり全部ができるようになるわけはないけれど、今年はこれが叶って、次の年はこれができて…。そうやって、小さなことを一つ一つを叶えていく人が、最終的に、理想の暮らしを叶えることができるのです。

 

人がモノを持つ理由には、2種類ある

人がモノを持つ理由には、「好きだから持っている」と「コンプレックスで持っている」の2種類あるといわれています。

私の場合、持っている本のほとんどが「コンプレックスで持っている」ものばかりでした。

学歴が高いわけでも、なにか資格を持っているわけでもない私は、社会人になって、ずっと抱えていた劣等感を爆発させることとなりました。コンプレックスを隠すために、「本はたくさんあったほうがいい」と信じ込み、たくさんの本を買い漁りました。また、「なにか資格を持っていないと会社で認められない」という気持ちから、インテリアコーディネーター、ファイナンシャルプランナー、中国語…などの資格の本もズラリ(レパートリーからも当時の私がどれだけ迷走していたか伝わると思います笑)。どれも数年前から持っている参考書なのに、どれも最初の数ページをペラペラめくっただけで、受験することはありませんでした。

また、当時勤めていた会社には、美術大卒業など、デザインやアートに精通している同僚がたくさんいました。文系出身の私は、ここでもコンプレックスが爆発。デザインやアート系の本が売っている本屋さんを巡っては、よく分かりもしないのに本を買い漁り、美術館に展示を見に行っては、大きな図録を必ず買って帰る…という生活を送っていました。

学歴も、特別な知識も資格もない。でも負けたくない。認められたい。そんな自己顕示欲の塊が、本棚にはどんどん詰め込まれていって、なんとも圧の強い空間が出来上がっていったのです。

 

本の片づけをしたから、独立できた

私にとって、本の片づけは特に思い入れの深いカテゴリーです。というのも、本の片づけに向き合ったことがきっかけで、「片づけ」を仕事にしようと決めたからです。

本のお片づけでは、「洋服」の片づけを通して磨いてきた「自分のこころの反応を観る力」が大活躍します。私も、本を1冊ずつ手に取りながら、からだとこころがどのように反応しているかを丁寧に感じ取っていきました。

・途中まで読んでみたけど、こころがワクワクしなかった本
・読まなきゃ、と焦燥感を感じる本
・これくらい分かってないといけない、とこころをピリつかせる本
・せっかく買ったのに読んでない自分を、責める気持ちになる本

こういった本は一旦、もったいないという気持ちは一度横に置いて、すべて手放してみることにしました。執着を一切取り除いてみたときに、自分のなかに残るモノってなんなのだろう?そのことの方が興味があったからです。

代わりに残した本は、
・なんの違和感もなく、読みたい!とこころがワクワクする本
・手に取ったときに、ジーンと胸が温かくなる本
だけにしていきました。すると、数百冊あった本は20冊ほどに。

こころに作用する本だけを本棚に並べてみると、これまで「読まなきゃ…」と焦燥感を感じてしまっていたのが、「読みたい…!」とポジティブな気持ちになれる空間になっていたのも驚きでした。目をつむって、どの本を手に取っても好きな本しかない、という経験は、おうちに自分の好きなモノだけを置くと、自然と「好きなことしかできない人生」になるのだということを気づかせてくれました。逆にいえば、そうではない人生になっているのだとしたら、自分がそういう世界にしているのだということです。

さらに、残した本をよーく見てみると
・片づけ
・料理
・旅
の本だけが残ったことに気づき、「いまの私は、この3つが大切にできたら、幸せなんだ。だからそれ以外は、一旦手放しても大丈夫なんだ。」ということが、確かな確信を持って納得できたのです。(最近知ったのですが、これを心理学ではアハ体験と呼ぶのだそうです。)

それからはみなさんもご存知の通り、片づけの資格を取って独立し、小さき家の活動をスタートし(料理)、東京と福島の二拠点生活(旅)を続けています。本との関係性も大きく変わり、本はたくさんあるのに、全然読まない人生から、1年間で100冊以上の本を読んだ年もあるほど、読書が大好きに。

一方で、その当時残した本ですらいまは一冊も残っていません。自分の変化とともに、ともに在るべき本も変わっていくというのが、これまた面白い体験です。

いまでも、いろんなことをやりすぎて、自分がなにをしたいのかわからない、という状態になったら、本の整理をしています。一度あたまでの思考はシャットダウンして、本を手に取りながら、こころとからだを観察してみると、自分の軸のズレに気づき、修正していくことができます。

たくさんの本に出会って、たくさん手放していく。そこで残ったモノこそが、本当にいま自分にとって大切なことなのだと、本の片づけが教えてくれます。

 

まずは本を出しましょう

本の片づけでも、これまでと同じように本を全出ししていきます。本棚に入れたまま選ぶのはNGです。必ず本棚から出して、一冊一冊を手に取って、丁寧にこころとからだに耳を傾けていきましょう。

 

残すのは「人生のバイブル本」だけ

残してほしい本は、「人生のバイブル本」のみ。これを読んで人生が変わった!とか、自分の生き方に大きな影響を与えてくれた!と、こころがワクワクしたり、胸がジーンと熱くなるモノだけを残しましょう。

 

手放す本

①未読の本
買ったものの読まなかった本、途中まで読んでそのままになっている本は、この機会にすべて手放しましょう。これらの本は、「読まなくても大丈夫」ということを教えにきてくれたのです。

本に書いてあることは「情報」です。情報化社会にある現代では、情報の7割はたったの3年で入れ替わるといわれています。本は何よりも読みたい!と思って買った「そのとき」が命。本は腐らないだけで、旬のフルーツのようなモノ。あっといまに自分にとっての旬が過ぎ、そうなったら2度とページをめくることはないのです。

余談ですが、私は、いま読んでいる本を読み終えてから新しい本を買うようにしています。そして、読み進めるのをストレスに感じるような本は、「自分とは相性が合わなかったんだな」と、早々に読むのを諦めて手放します。「面白くないな」と苦痛を感じながらも我慢して読まないといけない時間が、なによりもったいない!と考えているからです。

 

②まぁまぁ良かった本
これだけ世の中に、素晴らしい本が溢れていて、一生かかっても読みきれないくらいなのに、一度読んで「まぁまぁ良かったかな」というレベルの本を、また読み返す日が来るとは思えません。その本を読む経験は一度で十分です。手放しましょう。

 

ページをペラペラめくるのは厳禁!

本の見極めをする際に、絶対にやってはいけないことがあります。それは、ページをペラペラめくること。目次を含め、中身を見ることは絶対NG。タブー中のタブーです。

私がこんなに厳しく「ダメ」と断言するのは、本当に珍しいことです。どうしてこれがダメかというと、これをやってしまうとほぼ全ての本が残ることになるからです。

どんな本でも、やっぱりちゃんといいことが書いてあります。それを見ると、「やっぱり必要かも」「読みたいかも」と、正しい判断ができなくなってしまうものです。手放すのが惜しくなるし、苦しくなります。そうしてほとんどの本をまた本棚に戻すものの、それらの本をまた読む日は、やっぱり2度とくることはないのです。時間と労力の無駄に終わります。

「どんな本だったか、中身を見ないと分からないのに…」と思う方もいると思います。でも、本当に大切な本だったら、手に取って表紙を見ただけで、詳細とまでは言わなくても、ちゃんと思い出せるはずなんです。思い出せないということは、あなたにとって「その程度」だったということです。

 

こころに響いた一文に出会えれば十分

「まだこの本は全部頭に入れてないから」という理由で、本を手放せないという方がいらっしゃいます。

私は、その本のすべてを覚えなくてもいいと思っています。たくさんの情報を手に入れて、どんどん忘れて、それでも残っているものが、「あなたらしさ」を作ると思っているからです。

そもそも、その本のことを全部覚えようだなんて、著者でもない限り不可能です(多分著者でも覚えていないと思います)。

その1冊の本から、なにかひとつ、こころに響く言葉に出会えれば、それで十分なのです。

 

レシピ本は全部作らなくていい

そのレシピ本を見て、最後に料理を作ったのはいつのことですか?

レシピ本を買ったからといって、そこに載っているすべての料理を作らければ損だ、なんてことはありません。いくつか、自分に合った、作りやすいレシピと出会うことができたら、それで十分。

本の片づけで、「せっかくお金を払ったんだから、たくさん吸収しないと」という執着を手放して、「自分にとって必要な分を受け取れたらそれでいい」というものの見方を手に入れましょう。

 

どうして年間100冊の本を読めるようになったのか

私が、速読などの技術を身につけることなく、これほど多くの本を読めるようになったのは、
①片づけをしたことで時間に余裕ができたから
②たくさんの本を持たなかったから

が主な理由です。

片づけをしたことで、あれもこれもという思考を抜け出し、「二頭追うものは一頭も得ず」の状態を卒業しました。その代わり、いま本当に大切だと思うことをしっかりできる環境を作ること。私にとっては、読書の優先順位を上げてあげることが、自分の心が満足した生活を送るために必要なことだとわかったので、そうできるように、時間の整理をしました。

そして、たくさんの本を持たないようにしたのも、大きなきっかけになりました。本は、本棚にあることが役割ではなくて、人に読んでもらうことが役割だとわかってから、たくさんの本を持つことに価値を見出さなくなりました。(昔は、たくさんの本を持つことで、自分のコンプレックスを隠したり、知性をアピールしたかったのです。)

決定回避の法則というものをご存知でしょうか?ジャムの法則ともいわれ、マーケティングでよく引用される法則です。

端的に説明すると、「人は、たくさんの選択肢を目の前にすると、意思決定(行動)が遅くなるどころか、決断(行動)するのをやめる」というコロンビア大学の研究結果です。

例えば、季節も変わったから新しい洋服を買いに行こう!とショッピングに出かけても、あまりの選択肢の多さに、どの服を買ったらいいのか考えることも疲れて、結局なにも買わずに帰ってくる…みたいな経験、したことないですか?

これは、片づいていない家でも同じ現象が起こっています。本棚に本がたくさんあると、読みたい本や読まなきゃいけない本がたくさんあるように感じて、結局どの本を読むか決めることすらやめてしまう。洋服も、たくさん服を持っている人の方が、来ている服はワンパターンという研究もあります。冷蔵庫に食べ物がギュウギュウのときの方が、あれもこれも作れちゃうから、レシピを考えるだけで頭が散らかって、作るのが億劫になってしまう…という経験もよくありますし、休日に、あれもこれもやろう!と思うと、結局なにもできなかったり、とか笑

選択肢が多いと、「考えること」に体力を使いすぎてしまって、結局肝心の「行動する」ことができなくなってしまいます。私がたくさんの本を読めたのは、「いまはこの本だけ読めばいい」という状態にしておいたことで、自分のエネルギーを効率的に使える環境ができあがってたのです。

 

本を読むことには意味がない

元も子もないことを言います。上述したように、年間に100冊ほど読む生活をしていましたが、最近は本をたくさん読むことは、本質的にそんなに意味がないんだな、と思うようになりました。あんなに必死になって読まなくても良かったな、と。

それは、これだけ片づけ本がたくさん売られているのに、一向に片づいているおうちが増えていない世の中の現状をご覧いただければ、理解してもらえるのではないかと思います。それは、私も含め、本を読む=ただ字をなぞる、という行為になってしまっている人がどれだけ多いか、ということです。

本を読むことが大切なのではなくて、その本を「わかる」ことが大切なのです。そして、「わかる」というのは、「変わる」ことです。

だから、その本をわかったということは、その本を読んで、自分が変わったということです。変わるためには、実際にやること=体験することが不可欠です。

良い本に出会ったら、それを実践する時間も合わせて取ること。それは、本を読む時間以上に重要なことです。ただただ「たくさん本を読みたい!」と本を読んでも、まったく意味がないのだと気づいてから、いまは月に1冊、多くても3冊くらいしか読書はしなくなりました。でも、より深く、「わかる=変わる」ための読書ができるようになって、より人生が充実しているのを確信しています。

 

もう1回買ってもいい

一度買って手放した本を、数年後また読みたくなって、また買い直す…という経験を、何度か繰り返しています(そして読んだら大体また手放すのですが)。

本は、手放してもまた同じモノを買いやすいし、値段的にも、痛手が少ないなぁと感じています。そして、一度読んで、「また買い直してでも読みたい!」と感じられる本って、なかなか出会うことができません。そんな素晴らしい本を書いてくれた著者に感謝と応援の気持ちも込めて、もう一度お金を使うということは、私にとってはとても喜ばしい経済のまわし方です。

その本を読んでいない期間、古本屋さんに置いてもらうことで、また誰かに読んでもらえたり、本にあまりお金をかけたくない人が安く買えたりするのであれば、わが家にただ読まれずに置いてあるよりも、この世界の幸せを少し増やすことができます。

自分だけがそのモノを所有しても幸せはそれ以上増えることはないけれど、シェアすることができれば、同じ一つのモノでも多くの人に幸せを分けることができるのです。

 

収納のポイント

本の収納の際のポイントは、大きく2つあります。

①帯やチラシなど余計なモノを外す
帯やチラシは、お店に陳列してあるときに、お客さんの目に入りやすいように必要なモノです。だから購入後は必要ないですし、目立つようにデザインされているので目障りになっていることが多いので、基本はすべて外しましょう。

帯やチラシは、なくても古本に出すときに値段が下がることはないので、捨ててしまって大丈夫です。

②大きさ別に並べるでOK
並べる順番ですが、シンプルに「大きさ別」でOKです。カテゴリー別などにすると、管理が大変になるのでおすすめではありません(書類でも話しましたが、人の脳はカテゴリーを細かく分けた管理が苦手です)。

並べる際は、「右肩上がり」になるように、右側から背の高い順に並べてあげましょう。

収納用品
幅の広い本棚を使っている場合は、本が倒れて収納がしにくくなるのを防ぐために、ブックエンドや仕切りなどを使ってあげましょう。

私がよく使っているモノを紹介します。

▼スチロール仕切り・大
子ども用の絵本の収納にもよく使っています。

スチロール仕切りスタンド・ホワイトグレー | 無印良品丈夫で安定感のある作りなので、本・雑誌・書類等の整理や出し入れもストレスフリーで使えます。(仕切間隔:約83mm)www.muji.com

▼スチロール仕切板・大

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▼スチロール仕切板・中

スチール仕切板 | 無印良品スチール製で丈夫な仕切り板ですwww.muji.com

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それでは、「本」の片づけに取り組んでいきましょう!