「変わりたい」
そう心から思ったことはありますか?
いっそのこと、人生そのものをやり直したいと思うほどに「「変わりたい」」。もっといえば、「いい加減変わらないとまずい気がする」という、焦燥感のような感情。
こんなふうに、人がほんとうに「変わりたい」と思ってから、実際に求めていた生き方ができるようになるまでには、いままで生きてきた年数の、半分もの歳月が必要だといわれています。
あなたがいま40歳だとするなら、その半分の年数なので20年。つまり、実際に求めていた生き方へと人生が変わるのは、大体60歳になるころだと思っておくとよいでしょう。
これは、私自身の実体験を通しても、本当にそうだなぁと思っています。私が「変わらないとまずいぞ」と感じていたのが、19歳〜23歳のときのこと。いま、32歳になって、もちろん学べば学ぶほどに自分の未熟さを痛感するばかりではありますが、少なくともあのときの私が、「こういうふうに生きていきたい」という方向性の中で、やっと最近生きれるようになったなぁと感じています。
その過程でわかったことは、私たちはつねに「こうありたい」という変化の渦中を生きるしかないのだなぁということです。
19歳のころに感じていた「こうありたい」は叶ったけれど、32歳になった私が抱いている「こうありたい」は、19歳のころとはやっぱり少し違っています。変化をすると、また見える景色が変わるので、「ほんとうはこうあれたらよいのかも」とか、「こんなふうに成長したいないぁ」というのが出てきます。
おそらく、人生においては、ゴールに到達することはないし、理想が完全に叶うこともないのでしょう。でも、ゴールにたどり着いたか、理想の暮らしが叶ったかどうかは、しあわせに生きることと、なんら関係ありません。だって人生とは、「結果」ではなく「歩む道」そのものだから。人間は、決して完成することはなく、未完のままその生涯を閉じるのです。
「変わりたいと思っても、変化にそんなに時間がかかるなんて、気が遠くなる。もうあきらめてしまいたい。」という人もいると思います。本当にそうですね。嫌になっちゃいます。だから私は、別にあきらめたっていいと思っています。
でも、それだって楽な道ではありません。なぜなら、「変わらない」ことによる人生の結末から逃れることはできないから。あなたが望む・望まないに関わらず、そのことは引き受けなければなりません。
ありがたいことに、私は日々、いろんな方からご相談をいただいています。キャリアや仕事の悩み、子育てのこと、嫉妬や怒りという感情について、生き方について、お金のこと、お片づけのこと、夫婦関係のこと、時間の使い方のこと、自分を大切にする・好きになるとはどういうことか…。
悩んでいる、モヤモヤしている、というのは、なにか変わりたい、いまのままではいたくない、という気持ちの表れです。つまり、悩んだりモヤモヤしたりできるというのは、悪いことではなく、素敵なことだと思うのです。
だからその「変わりたい」をいう気持ちを大切にするために、そしてその願いを叶えるための一歩を踏み出せるように、ぜひお願いしたいことがあります。
それは、自分に時間的猶予を与えてあげてください、ということです。
いまの時代は「はやさ」が評価される時代です。学校でも、はやく走れる子、はやく着替えたり、食べたりできる子、はやく答えが出せる子が、「いい子」と評価されますし、職場でも、はやくレスポンスができる人、はやく結果が出せる人、はやく解決できる人が、「できる人」と評価されます。
だから、人生においても「はやく変わらないと!はやくこの悩みを解決して、はやくこのモヤモヤをスッキリさせないと!」と感じている人も多いかもしれません。そんなあなたは、きっとこれまで、まわりの期待に応えるために、すごくすごく、頑張ってきたのでしょう。それはもちろん、素晴らしいことです。
でも、人生においてはちょっと勝手が違うのです。人生では「はやさ」というのは、大事なようで、実はあんまり大切ではないからです。人生の問題というのは、いろんなことが複雑に絡み合っています。焦るばかりに、その絡み合った糸を強引にほどこうと引っ張っても、問題は解決するどころか、より強固なものになってしまいます。
落ち着いて、根気強く、丁寧に、絡みあった糸を一本一本ほどいていくしか方法はありません。実はそれが、一番はやい方法なのです。
そのことを知らずに、一気にすべてを解決しようとか、一気にすべてを手にいれようとか、最初から完璧や究極を目指そうとしてしまう人、そうでないとダメだと感じている人が、とても多いように感じています。自分に時間的猶予を与えてあげることができないのです。
人生の変化には、自己の成長が必要不可欠です。成長は、一朝一夕にできるものではなくて、日々の取り組みのなかで、だんだんとできるようになっていくもの。そのことに時間を費やす覚悟なくして「変化」することなんて、やっぱりできないんじゃないかなぁと思うのです(短時間で、「変わった気」になれるようなものはたくさんあるけれど、雰囲気だけです)。
ほんとうの意味で、自分が「変わる」ための時間を、自分に許してあげていますか?
焦る気持ちはわかります。けれど、その焦りという感情に振り回されずに、「やるべきことを淡々とやっていくのだ」と静かに決意した人が、心からの「変わりたい」の想いを実現していくのでしょう。
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2024年5月16日
暮らしのスコレ|うき
(暮らしのスコレ・2期生は定員に達しましたため、募集を締め切らせていただきました。3期生の募集は、2025年1月ごろを予定しています。暮らしのスコレについて、詳しくはこちら)